はな劇場

地下1階。土壁に囲まれた、アップライトピアノとステージだけの場末パブ。Googleマップには載っていません。

魚のように飲む女と食後酒(ディジェスティフ)

カナダは州によって公用語が英語もしくはフランス語、あるいはその両方に分かれています。私が住むケベック州の公用語はフランス語です(英語ではない!)。

 

でも、ケベック州出身の人やここに長く住んでいる人の中にも、フランス語の方が第一言語の人(francophoneフランコフォン)と、英語がメインの人(angraphoneアングラフォン)とがいます。

大部分の人は、フランス語も英語もできるバイリンガルがですが、中にはフランス語しかできない人もいます。

ちなみに、ケベックのフランス語はフランスのフランス語とかなり異なる点が多く、分類して「ケベコワ (Québécois)」と読んだりしています。

 

魚のように飲む女

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ケベック出身のフランコフォンの友人と飲みに行った時のこと。

私はフランス語は少し聞き取れるけど話すのは下手なので、彼は不得手な英語を頑張って話してくれていました。私が田舎の湖で泳いでいるという話になり、

「You swim like a fish(君は魚のように泳ぐんだね)」

と言おうとしたところ、

「You DRINK like a fish(君は魚のように飲むね)!」

 

といってしまったんですねー。

私は、水泳の話をしていたので、きょとんとして、でも確かに手にはビールを持っていたので…

 

すると、私のパートナーのイギリス人は「ぷっ」と笑い出しました。

 

フランコフォンの友人は、「ごめん、まちがえた。You swim like a fishっていいたかったんだよ。言い間違えた」

ウチのイギリス人は「いや、確かに彼女は魚のように飲むからね、間違ってはいない」と。

 

英語では確かにそういう表現があるのだそうです。

Drink like a fishーつまりお酒をよく飲むということ。魚は水を大量に飲んでいるかというと、そうなのかな、といささか疑問も感じますが。

 

ケベックフランス語では、よく飲む人のことを表して「穴(Un trou)のように飲む」というらしいです。

日本語ではお酒をたくさん飲む人のことを「あいつはザルだ」と表現しますよね(少なくとも私の育った地方ではそういいます)。これは、英語でも同じように表現できるのだそうです。ザルは英語で「a sieve」。

 

ついでにいっておくと、日本語で大酒飲みのことを「ウワバミ」といいますが、あれは大きな蛇(おろち)のこと。

 

食前酒と食後酒

食前酒のことをフランス語では「アペリティフ(Apéritif)」といいます。

これは英語でも「Aperitif」といい、すでに日本語としても定着しつつあるのかな、と思います。アペリティフとしては、シャンパンが多いみたいですね。日本人にとってはビールか梅酒かな。

 

アペリティフはもともと、食欲を増進するためのお酒という定義になっています。

ラテン語の「aperire(開く)」が語源となっていて、英語の「appetite(食欲)」とも関連していそうです。ちなみに、中国語では「開胃酒」といい(もしくは「餐前酒」とも言います)、その機能を訳した形になっています。

 

一方、食後酒のことは「digestif(ディジェスティフ)」といいます。

疲れた胃を刺激して元気にする役割があるというのですが、「単に飲みたいだけなのでは…?」と思ってしまうのは私だけでしょうか。

 

これに関連しているっぽい英語で「digest」は、「消化する」という意味の動詞です。

日本語で「ダイジェスト」というとちょっと違う意味になりますね。でも間違っているわけではありません。英語の「digest」にも日本語のダイジェストとしての意味はあります。

 

ところで、日本ではアペリティフはなんとなく定着しつつあるけど、ディジェスティフはあまり聞きなじみがありませんね。

「食後酒は日本語では何と言うの?」と聞かれたので、「そんなものは実質存在しないよ、日本には」と答えておきました。

少なくとも、魚のように飲む女には、そういう「締めの酒」は要らないのです。

 

そのフランコフォンの友人に言わせると、アペリティフとディジェスティフの他にもう一つあって、食中酒というか、多分料理と料理の間に出てくる(?)お酒で、主にコニャックを飲むんだそうです。

食事をしながら飲むワインという意味ではありませんよ。

お腹がいっぱいになったときに、ちょこっとショットで飲んで「さあ、さらに食べよう」と食欲を増進させるのだとか。

本当かな~と思うのですが…、彼のファミリーだけかも。